日本山岳サーチ・アンド・レスキュー研究機構(IMSARJ)では、UIAA*1の「登山倫理宣言 Mountain Ethics Declaration」を我が国の登山界における最も重要な「登山規範」と位置づけ、2010年より、中島を代表とする「登山倫理ワーキンググループ」を発足させ、翻訳を開始した。
登山倫理宣言Mountain Ethics Declarationは、2009年10月に開催されたUIAA総会で承認されたものである。
その開発・承認のプロセスを簡単に、以下に紹介する。当倫理宣言は、2001年UIAA登山委員会において、「登山規範Mountain Code」として、作成され、2002年のインスブルクで開かれた「登山スポーツの将来会議」で検討されたものである。当会議では、改訂後、チロル宣言として採用されたが、総会での承認は得られなかった。その後、2009年まで様々な改訂が試みられた。
UIAA総会は、所属する57ヶ国、82山岳団体から構成されている。日本からは日本山岳協会が代表団体として参加しているため、当倫理宣言の承認は、日本での承認も得たものと解釈している。
なお、翻訳に当たって、様々な問題が見つかり、現段階でも議論している箇所があるが、その重要性を考え、急ぎ一般公開することとした。ここでは、翻訳文と原文を併せて掲載する。
翻訳文に問題がある場合は、IMSARJ登山倫理ワーキンググループ(tozanrinri@imsar-j.org)まで、ご一報願いたい。ワーキンググループおよび関係者間で検討後、必要に応じて改訂する。
*1 国際的な登山及び山岳競技等の統轄団体。創立は1932年。◇IOCの公認団体で、正式名称は「Union Internationale des Associations d'Alpinisme」。略称は「UIAA」。